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ABCD2スコアとガイドライン:NICEとAHAの現在の見解

ABCD2スコアは、一過性脳虚血発作(TIA)後の患者を早期脳卒中のリスクで振り分けるために2007年に作られました。2019年以降、NICEは診察の緊急度の判断にこのスコアを使わないよう勧めています。ここでは、現在のガイダンスが述べていること、変更の根拠となったエビデンス、画像所見を用いるABCD3-Iスコアとの比較を紹介します。

ABCD2スコア計算ツールを開く

NICE NG128がABCD2スコアについて述べていること

NICEガイドラインNG128「16歳以上の脳卒中と一過性脳虚血発作」は2019年5月に発表され、2022年4月に最終更新されました。推奨1.1.6は明確です。「TIAの疑いまたは確定診断を受けた人について、その後の脳卒中リスクの評価や紹介の緊急度の判断に、ABCD2などのスコアリングシステムを使用しないこと」。推奨1.1.5は、スコアに基づくトリアージを全員に共通の1つのルールに置き換えています。「TIAが疑われる人は、症状発現から24時間以内に診察を受けられるよう、専門医による評価と検査に直ちに紹介すること」。委員会は、ABCD2やABCD3を単独で用いた場合、脳卒中リスクの低い人と高い人を区別する能力が低いと説明しました。ABCD2-IやABCD3-Iのように脳と頸動脈の画像検査を加えると識別能はわずかに改善しますが、そうした画像検査は、これらのツールが主に使われるはずのプライマリケアや救急隊では利用できません。こうしたツールに基づいて専門医の評価の手配を遅らせると害を生じうるため、TIAが疑われるすべての症例を高リスクの可能性があるものとして扱います。

NICEはもう1つの理由を挙げています。TIAの信頼できる診断検査は存在せず、リスクツールは診断検査ではないことです。実際には、TIAが疑われた症例の30〜50%が別の診断であることが判明するため、専門医が速やかに診断を確定または否定する必要があります。

ABCD2に関するガイダンスを変えたエビデンス

ABCD2に関するガイダンスが変わったのは、2007年以降の研究で、このスコアのリスク識別能が導出研究の示唆より低いことがわかったためです。2015年、ABCD2がトリアージに広く推奨されていた時期に、Wardlawらは、TIA患者13,766例の29研究をNeurology誌のメタアナリシスで統合しました。4点以上の7日以内の脳卒中再発に対する感度は86.7%と高いものの、特異度は35.4%と低い結果でした。4点未満の患者の5人に1人(20%)に50%を超える頸動脈狭窄または心房細動があり、これらは緊急の対応を要する所見です。スコアはTIA類似疾患(ミミック)も区別できませんでした。TIAミミックの35〜41%、真のTIAの66%が4点以上でした。著者らは、ABCD2は低リスクと高リスクを確実に区別できず、そうした患者を特定することも、外来の業務を効率化することもできないと結論づけ、TIAが疑われるすべての患者に速やかな専門医評価を行える体制が必要だとしました。

カナダの8つの救急部門で行われた前向き研究(Perryら、CMAJ、2011)も同じ見解に達しました。2,056例のうち1.8%が7日以内に脳卒中を発症しました。5点超ではそのうち31.6%しか拾えず、2点超では94.7%を拾えましたが特異度は12.5%でした。曲線下面積は、登録した医師が算出した場合0.56、調整センターが算出した場合0.65で、著者らはどのカットオフ値でも不正確だとしました。

米国心臓協会がABCD2について述べていること

米国心臓協会と米国脳卒中協会(AHA/ASA)は、ABCD2スコアを否定するのではなく、2つの科学的声明で取り上げています。TIAの組織に基づく定義を定めたEastonらによる2009年の声明は、発症から72時間以内に受診しABCD2スコアが3点以上の患者、または外来で評価を迅速に完了できない患者を入院させることは妥当であるとしました。また、症状発現から24時間以内の神経画像検査(できれば拡散強調画像を含むMRI)と頸部血管の画像検査を勧めました。その後、Perryのカナダの研究で、このカットオフ値は感度は高いが特異度は低いことがわかりました。救急部門におけるTIAに関する2023年のAHAの科学的声明(Aminら)は、脳と血管の早期画像検査、リスク層別化スケールの慎重な使用、その他の検査を組み合わせた包括的なプロトコルによって高リスク患者を特定し、誰が安全に帰宅でき、誰を入院させるべきかを判断することを目標としています。

このように、両者は重点の置き方が異なります。NICEはトリアージからスコアを完全に外し、全員を24時間以内に専門医へ紹介します。AHA/ASAの声明は、救急部門からの入院の判断において、画像検査と並ぶ1つの判断材料としてリスクスコアを残しています。

ABCD2 vs ABCD3-I

ABCD2とABCD3-Iの違いは、画像検査の結果が利用できるかどうかに尽きます。2010年にMerwickらがLancet Neurology誌に発表したABCD3-Iは、ABCD2の5項目を残し、それぞれ2点の3項目を追加しています。dual TIA(指標となるイベントの7日以内に先行するTIA)、頸動脈画像検査での50%以上の狭窄、拡散強調MRIでの異常所見です。範囲は0〜13点です。二次医療で評価された2,654例の導出サンプルでは、2日以内の脳卒中に対するc統計量は0.90でした。アジア、欧州、米国の16コホートから専門医がTIAと確定した2,176例を統合した解析(Kellyら、2016)では、2日以内のc統計量はABCD2が0.64、ABCD2-Iが0.74、ABCD3-Iが0.84でした。著者らは、ABCD3-Iに基づくケアを、直ちに行う専門医評価、緊急MRI、血管画像検査とあわせて検討することを提案しました。NICEは、画像検査によって識別能がわずかに改善することは認めましたが、それがスコアに基づくトリアージを正当化するとは認めませんでした。

項目ABCD2ABCD3-I
年齢60歳以上11
血圧140/90以上11
片側の脱力22
言語障害、脱力なし11
持続60分以上22
持続10〜59分11
糖尿病11
Dual TIA–2
頸動脈狭窄50%以上–2
DWI異常–2
範囲0–70–13
16コホート2,176例における2日以内の脳卒中の識別能(c統計量。0.5は偶然、1.0は完全)(Kelly 2016)。

現在のABCD2スコアの読み方

現在、ABCD2スコアは緊急度の判断ではなく、リスク因子の記述として読むのが最適です。NICE NG128のもとでは、スコアによってTIAが疑われる人の診察時期を変えるべきではありません。全員が症状発現から24時間以内に専門医の診察を受けます。AHA/ASAの声明が認めるように、地域のパスウェイや救急部門で今もABCD2を記録している場合は、エビデンスから得られる2つの点が役立ちます。低いスコアは安心材料になりません。Johnstonの2007年の論文の低リスク群でも2日以内の脳卒中リスクは1.0%あり、Wardlawのメタアナリシスでは4点未満の患者の約5人に1人に50%を超える頸動脈狭窄または心房細動がありました。高いスコアはTIAを確定するものでもありません。多くのミミックも4点以上になるからです。たとえば、血圧128/78 mmHg、片手のしびれが5分間、糖尿病なしの55歳の患者では、ABCD2スコアは0点ですが、それでもNICEは24時間以内の専門医評価を求めます。

ABCD2スコア計算ツールに所見を入力すると、スコア、リスク群、Johnston 2007による2日以内の脳卒中リスクが、NICEの注意書きとともに表示されます。

よくある質問

NICEは今もABCD2スコアを使っていますか?

いいえ。NICE NG128(2019)は、TIAの疑いまたは確定診断の後に、脳卒中リスクの評価や紹介の緊急度の判断にABCD2などのスコアリングシステムを使わず、TIAが疑われる人はすべて症状発現から24時間以内に診察を受けられるよう紹介するよう求めています。

英国ではなぜABCD2スコアがTIAのトリアージから外されたのですか?

NICEは、単独で用いたリスクスコアは脳卒中リスクの低い人と高い人を区別する能力が低いこと、識別能を改善する画像検査はプライマリケアや救急隊では利用できないこと、そしてそうしたスコアを理由に一部の人の診察を遅らせると害を生じうることを指摘しました。

ABCD3-IはABCD2より優れていますか?

早期のMRIと頸動脈画像検査を行い、専門医がTIAと確定した症例の研究では、はい。Kelly 2016では、2日以内のc統計量はABCD3-Iが0.84、ABCD2が0.64でした。画像検査の結果が必要なため、初診時ではなく二次医療で用いるものです。

AHAはABCD2のどのカットオフ値を用いましたか?

2009年のAHA/ASAの科学的声明は、72時間以内に受診しABCD2スコアが3点以上の患者を入院させることは妥当であるとしました。Perry 2011では、2点超の7日以内の脳卒中に対する感度は94.7%でしたが、特異度はわずか12.5%でした。

AskMedは最新のTIAガイダンスを出典付きで確認できますか?

はい。AskMedはNICEやAHAなどのガイドラインをもとに各記述に出典を付けて答え、用量は示しません。App StoreとGoogle Playで入手でき、ウェブでも使えます。

出典

  1. National Institute for Health and Care Excellence. Stroke and transient ischaemic attack in over 16s: diagnosis and initial management (NG128). Published May 2019, last updated April 2022. nice.org.uk/guidance/ng128
  2. Johnston SC, Rothwell PM, Nguyen-Huynh MN, et al. Validation and refinement of scores to predict very early stroke risk after transient ischaemic attack. Lancet. 2007;369(9558):283–292. doi:10.1016/S0140-6736(07)60150-0
  3. Wardlaw JM, Brazzelli M, Chappell FM, et al. ABCD2 score and secondary stroke prevention: meta-analysis and effect per 1,000 patients triaged. Neurology. 2015;85(4):373–380. doi:10.1212/WNL.0000000000001780
  4. Perry JJ, Sharma M, Sivilotti ML, et al. Prospective validation of the ABCD2 score for patients in the emergency department with transient ischemic attack. CMAJ. 2011;183(10):1137–1145. doi:10.1503/cmaj.101668
  5. Easton JD, Saver JL, Albers GW, et al. Definition and evaluation of transient ischemic attack: a scientific statement for healthcare professionals from the American Heart Association/American Stroke Association Stroke Council. Stroke. 2009;40(6):2276–2293. doi:10.1161/STROKEAHA.108.192218
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  7. Merwick A, Albers GW, Amarenco P, et al. Addition of brain and carotid imaging to the ABCD² score to identify patients at early risk of stroke after transient ischaemic attack: a multicentre observational study. Lancet Neurol. 2010;9(11):1060–1069. doi:10.1016/S1474-4422(10)70240-4
  8. Kelly PJ, Albers GW, Chatzikonstantinou A, et al. Validation and comparison of imaging-based scores for prediction of early stroke risk after transient ischaemic attack: a pooled analysis of individual-patient data from cohort studies. Lancet Neurol. 2016;15(12):1238–1247. doi:10.1016/S1474-4422(16)30236-8

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